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日本的受容とは

(3)「漢字2字熟語・イディオム」について -「日本的受容」報告その1.-

  今回は現時点で気掛かりとなり、前へ進めなくなっている事柄についての報告となります。
1.気掛かりな事柄
I日本語※1は「概念」―大まかな意味・内容―を伝え合う働きが強く多分に情緒的言葉である。

 事実の裏付けや、実行を伴う保証を示さなくてもその場を取りつくろえる。→「解釈」や「見解」の相違が入る余地あり。また、 “黒か白か” の決めつけによるかみ合うことの無い不毛な論議も。概念規定・定義付け※2をする欧米語とは真逆の言語。

 ※1 日本民族は書き言葉・文字を自前で創り出す

必要の無かった数少ない民族である。天変地異が多い災害列島なので筋の通った記録を遺し、将来に活かす余裕も必要も無かったから、と考えられる。
※2 本H・P「私の音楽観と創作態度」中※3客観的考えに不可欠な「定義付け」参照。

II 人は実際に見て覚えている言葉以外は大まかにしか理解できない。(「クローズ・アップ現代」NHK(14.12.10放映))

 日本語に借用されている漢字のおこりは具体的な物事の姿・形を写した象形文字である。したがって抽象的で目に見えることのない政治、経済、論理、哲学等の専門用語※3は「概念」=大まかな意味止まりで思考停止※4し、政治家,アナリスト等の専門家、いわゆる有識者、そしてメディアに判断を丸投げし、盲従することになる。“ 日本社会は一見民主的、その実衆愚的側面あり”、とされる。

例:関東大震災時のデマによる混乱。保守2党間の疑似「2大政党」による政権交替待望世論(?)。3.11以後の深刻な被災地の風評被害等々。

※3これらの殆どは日本文化に大転換をもたらした明治維新後に欧米から受容した語であり、「明治維新レジュームの原動力となった。文化・文明が全く異なる漢字に置き換えるのは至難。
※4その他にカタカナ語も思考停止,丸投げにつながる。
例:グローバル・スタンダード( “世界標準” ○、 “限りない自由化” →規制緩和→労働法改正)

 III 象形文字はまた、理屈を超えた魔力・洗脳力を持つ。

 

象形文字は呪術に始まり、統治のためのおきての周知を目的とした。訓読が無く音読だけのイディオムに使われている漢字は、日本的受容が原因でその漢字本来の意味で使われていない。
これが “「政治・経済」はプロ、その実支配層がやるものであり、我々素人には何も変えられないから棄権する” 、につながるとの説の裏付けになると考えられる。『→結果として現行憲法の否定と明治憲法レジュームへの回帰を大方の日本人に自ら行わせる魔力が漢字にはあることになる。「政治・経済」共に音読。訓読ではない。

 

例:『広辞苑』にある「政治」の「政」に関しては、音読によるセイと訓読による“まつりごと”の2つの項目があり、それぞれ微妙に意味が違う。
○「セイ」=国をおさめること。まつりごと。※5
○「まつりごと」=祭祀を行うこと。祭祀。(「祭祀」項目が無く意味不明。よって定義不能)
※5 『漢字源』による本来の意味。
“まつりごと。社会をただしくとりしきる仕事。 訓は日本古代の祭政一致意識を伝える。” →「祭政一致」に注目

上記「セイ」と「まつりごと」をまとめると、 “(意味不明の) 祭祀により国をおさめること” になる。欧米語のpolitic, govementと似て非なる訳語。日本的受容の典型。

→日本の政治は現代にあっても「祭政一致」,「政教一致」?
そうだとすると民主主義(「信教の自由」他)との整合性は?ひいては権力を縛るConstitutionalism・立憲主義が国民レヴェルに定着してないのは、「憲」も「法」も、権力が国民にはめた「のり」「おきて」であるとして洗脳済みだから?または漢字の魔力?
→堂々巡りになり思考停止。専門家ではない私にはこれ以上考えるのは至難の業?

 2.終わりに
人は言葉を使って考え、その結果を行動します。つまりブレルことが少ない言葉・文字を使わない限り、実際に見た記憶と結びついている言葉しか実行に移せないのです。だからその場限りの言いっ放しで議論も深まらずに納得してしまいます。
逆に行動できないのは漢字の魔力に知らず知らずのうちに洗脳されているのかも知れません。※4

 ※4 これを補い、より良い生き方をするのには定義付け能力を向上させ、論理力とブレることの少ない自分らしさを高めることです。また、「文化・芸術・音楽」による価値判断基準に対する感覚の練磨も重要です。=「芸術(による)教育」の根拠。定義付け能力については本H・Pの「私の音楽観と創作態度」※3参照

「定義付け」に関しては、日常のニュースの中で急に頻用されるようになったイディオムを複数の辞書でチェックをする。世論調査結果によるムードをうのみにしない、等がこれらと向き合うベターなやり方です。_世論調査の回答選択脚は前もって用意されている結論に誘導されるようになっているのがある。

3. 参考資料;去年初めて識った漢字の “本来の意味” 一覧抜粋(『漢字源』から)

 

次回リニューアル時には、「報告2.」として今回内容の検討,補足,訂正等を予定しています。(‘19春 記)

補1.民主々義のキーワードとなるイディオム中に使われている「民」等の本来の意味


音読/常読

日本的受容前の漢字本来の意味他

民 ミン/たみ

おさめられる人々。権力を持たない大衆。また、広く、人間。
←〈解字〉目を針で突いて目を見えなくした奴隷.盲が目が見えないようにものの分からない人々。支配される立場の多くの人々。

憲 ケン

のり。人間の言葉を取りしまるわく・おきて。
←〈解字〉目の上にかぶせて、かってな行動や心の行動を押えるわくを示す。

法 ホウ/ハッ/ホッ

のり。人々の生活を取り締まるために定めたわく。おきて。
→「憲法」は“のり・のり”または“二重のおきて”の意味。(国民の共通理解?)

絆 なし(音読_バン。 意読_ほだし/きずな/つなぐ/ほだす)

ほだし。きずな。馬の足にからめてしばるひも。また、人を束縛する義理・人情などのたとえ。

補2.この他「経済」について

このイディオムの一般の受け取り方は、 “景気,暮らし向き,家計のやりくり,生活の質・(物質的)豊かさ・生活の余裕” 等々であるが、『広辞苑』にはこれらに近い意味は殆ど皆無※5である。庶民は分からないので選挙の争点になっても棄権するか、または少しでも生活が楽になるのであれば、とのムード(世論調査による)から期待票を投ずるか、の二択反応をする。(←「2分法」による思考停止。丸投げ。)

 ※5『広辞苑』第一義:[文中子(礼楽)]国を治め人民を救うこと。経国済民。政治。第二義:(economy)人間の共同生活の基礎をなす~(中略)~転じて金銭のやりくり。

 漢字本来の意味を、『漢字源』に当たると
“「経」たていと。「済」すくう。不足を補って平等にならす。困っている者に当てがって、水準の線までそろえてやる。「救済」「経世済民(世の中を調整して人民の生活のでこぼこをなくする)」”
これに対して、「経済」は「経世済民」から「経」と「済」を抜き出して造った略語である。

この「経済」を当てがわれた原語であるeconomyは『オクスフォード現代英々辞典』では以下。
the relationship between production,trade and the supply of money in a
particular country or region

 辞書同士の比較検討から分かったこと。

①“日本人の常識”としての『広辞苑』中の「経済」の第2義は、economyの訳としてあるが、the supply of moneyがぬけ、代りに「政治,金銭のやりくり」が入る等、economyの訳としては問題を残す。「日本的受容」の好例。
遣隋使以降の何時かに中国から概念として大まかな意味で移入され造語,受容されたものと考えられる。

 ② むしろ大多数の国民の生活感覚からは『広辞苑』中第2義、および『漢字源』の第5義にある “やりくり” の方がなじみ易い。

 ③ 似たような「経世済民」と「経国済民」とが見られる。前者は『広辞苑』に独立項目として扱われているが、後者の「経国済民」は前者項目中にあるだけで独立項目として採り上げられていない。これも造語と考えられる。「世」を「国」に変えた理由は不明。ちなみに『漢字源』中の「世」は、 “30年間,ゼネレーション” の意であり、 “世の中~国家の政治” の意なし。
「国」は、 “くに。境界で囲んだ~略~。今は人民・土地・主権を有する国家のこと。”とあり、この “国家” は主権在民の民主主義国家を意味しない。
→この書き換えは何なのか?= “気掛かり” だった原因の1つ。

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